ADHDで仕事が遅い…
仕事が遅くて注意されてばかりだし、このままじゃキャリアを積めないどころかクビになってしまいそう…
どうしてこんなに仕事が遅いんだろう?
原因や解決策が知りたい!
ADHDで仕事の遅さに悩む人、多いですよね。
ADHD当事者である筆者も、時と場合によって仕事が遅くなることがあり、焦る気持ちはわかります。
この記事では、ADHDで仕事が遅い原因と、仕事が遅い人が自分で取れる対策や、周囲への助けの求め方を解説します。
- ADHDで仕事が遅い原因として考えられるのは ①処理速度や知覚推理の低さ②二次障害
- 自分で取れる対策 ①タスク管理②適度な休憩
- 周囲への助けの求め方
ADHDで仕事が遅い原因として考えられるもの2選
この章では、ADHDで仕事が遅い原因として考えられるもの2選を解説します。
知覚推理・処理速度が低い
ADHD(注意欠陥・多動性障害)のある人が仕事が遅くなりがちな原因として、2つの要素を挙げることができます。
まず一つ目の要素として、「知覚推理・処理速度が低い」ということが考えられます。これは、WAIS(ウェクスラー成人知能検査)において、知覚推理力や処理速度が平均よりも低めであるため、一つ一つの作業に時間がかかってしまうことが原因であると言えます。
具体的には、情報を脳内ですばやく収集、整理し、それに基づいて判断を下すという一連の流れが他の人に比べて遅くなる傾向があります。
言語理解(VCI) | 言語に対する理解力・把握力 |
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知覚推理(PRI) | 目で見たことから物事を理解したり操作する力 |
ワーキングメモリー(WMI) | 記憶力や集中力に関する力 |
処理速度(PSI) | 手先の器用さや作業スピードに関する力 |
二次障害がある
二つ目の原因として、「二次障害がある」可能性があることも挙げられます。
二次障害とは、ADHDの特性による日常生活や社会生活での困難やストレスが原因で生じる他の精神障害のことを指します。
二次障害には例えば、睡眠障害やうつなどがあります。二次障害にかかると、元々のADHDの症状が更に強まるため、仕事が遅くなる可能性が高まります。特に、不眠症やうつは集中力を低下させ、作業効率を下げる要因となります。
ADHDで仕事が遅い人が自分で取れる対策
この章では、ADHDで仕事が遅い人が自分で取れる対策を解説します。
タスク管理を行う
ADHDで仕事が遅い人は、自分自身で対策を講じることで、作業効率を向上させることが可能です。その一つがタスク管理です。
1日の始まりにタスクをすべて書き出して優先順位をつける
毎日の仕事の流れをよりスムーズにするためには、一日の始まりに自分が行うべきタスクをすべて書き出し、それらに優先順位をつけることが有効です。あらかじめタスクを整理することにより、仕事の全体像を把握しやすくなり、どのタスクから手をつけるべきかが明確になります。
仕事を頼まれたらタスクをすべて書き出して優先順位をつける
また、新たに仕事を頼まれた場合も、すぐにタスクリストに加え、優先順位を見直すことが重要です。落ち着いてタスクを見直すことで、予期せぬタスクが生じたときでも、混乱せず柔軟に対応することができます。
タスク管理により、仕事が遅いADHDの人でも効率的に業務を進められるようになるでしょう。
タスク管理は、日々の作業を計画的に進める上で非常に役立つスキルです。これを身につけることで、ADHDで仕事が遅いという問題を自分で解決することが可能となります。
適度に休憩を取る
ADHDの人は、一度に長時間集中するのが難しいことが多いです。そのため、仕事が遅くなってしまうことがあります。または過集中により長時間集中しすぎてしまい、優先順位の低いタスクに夢中になってしまい仕事が遅れる・疲れてしまうといったこともあるでしょう。
ですが、適度に休憩を取ることで、集中力をリセットし、仕事の効率を上げることが可能です。
まずは、自分がどれくらいの時間、集中できるかを把握しましょう。それが25分だったら、25分間集中的に仕事をし、その後に5分間の休憩を取るというようにスケジュールを作成します。この方法は「ポモドーロテクニック」とも呼ばれる、時間管理の一つの手法です。
また、休憩中には深呼吸をしたり、軽いストレッチをしたりして、リラックスすることが重要です。深呼吸やストレッチによって、心地良いリフレッシュ感を得て、次の仕事に取り組むためのエネルギーを充電することができます。
休憩とは、ただ仕事から離れるだけでなく、脳へのリフレッシュと、次の仕事に向けた準備のための重要な時間です。適度に休憩を取りながら仕事に取り組むことで、ADHDで仕事が遅い人でも、効率よく仕事を進めることが可能になります。
ADHDで仕事が遅い人におすすめしたい周囲への助けの求め方
この章では、ADHDで仕事が遅い人におすすめしたい周囲への助けの求め方を解説します。
仕事の配分を変えてもらう
職場に理解がある場合、特に障害者雇用の場合は、事情を話し、仕事の配分を変えてもらうよう上司に相談するのが有効です。
上司に事情を話す際は、わがままだと受け取られないように、ADHDの特性と業務の現状、改善の努力は行っていることを丁寧に伝え、理解を得られるように努めましょう。
また、障害者雇用の人の場合は、上司に相談する前に、まずは担当の支援者に相談してみましょう。ADHDで仕事が遅くて困っている状況を、担当の支援員が上手く上司に伝えてくれるでしょう。
医師に相談する
医師は、ADHDや二次障害の症状に合わせたアドバイスや、必要に応じて適した薬の処方をしてくれます。
また、カウンセラーが在籍している病院であれば、ぜひ活用してみましょう。カウンセラーは、職場での課題をどうやって乗り越えるか、具体的なアイデアを提案してくれるかもしれません。
専門家に相談して転職を目指す
「もしかして、別の職場の方が私に合っているかも?」そんな風に考えたら、転職の専門家に相談してみるのがいいかもしれません。現在在職中でも相談は大丈夫です。
専門家は、あなたの強みや興味を生かせる仕事を一緒に考えてくれます。
就労移行支援
発達障害の人には、就労移行支援がおすすめです。就労移行支援では、職場でのコミュニケーションの取り方や、自分に合った働き方を見つけるためのサポートを受けることができます。
転職エージェント
障害者用の転職エージェントを利用すると、あなたの特性を理解してくれる会社を見つける手助けをしてくれます。障害者用のエージェントの選考は非常に厳しいものだと言われていますが、紹介を受けられるようであれば、自分にマッチした職場を見つけられるチャンスは多いです。
ぜひ自分のペースで働ける環境を探してみましょう。
障害者就労・生活支援センター(なかぽつ)
障害者就労・生活支援センター(なかぽつ)も、新しい職場を探す際に役立ちます。
なかぽつはNPO法人などが自治体に代わり運営している無料のサービスです。
なかぽつでは臨床心理士などの専門家が在籍していて、発達障害の人特有の悩みに対するアドバイスや、仕事探しの具体的なサポートを受けることができます。
市内だけではなく、市外・県外のなかぽつを利用できることもありますので、自分に合ったなかぽつを利用すると良いでしょう。
まとめ
ADHDで仕事が遅くなる原因として考えられる理由
- 知覚推理・処理速度が低い
- 二次障害がある
ADHDで仕事が遅い人が自分で取れる対策
- タスク管理を行う
- 適度な休憩を取る
ADHDで仕事が遅い人におすすめしたい周囲への助けの求め方
- 仕事の配分を変えてもらう
- 医師に相談する
- 専門家に相談する